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私の愛読書「 北溟館物語」または「荒涼館」(ディケンズ)4 探索と遭遇男爵夫人の過去に何があるのか。 男爵夫人が無名の筆耕生に関心を持ったことに不審を抱いたタルキングホーンは探索を開始し、その男がクルック古物商の2階に下宿していることを突き止めるが、たずねあてたとき、男は餓死していた。 タルキングホーンはそのことをそれとなく男爵夫人に話し、反応を探る。 無名のままやせ衰えて死んでいたが、検死した医者によると、若い頃は身分も容貌ももっとましだったようだと。 無関心を装った夫人だったが、内心激しく動揺していた。 その筆跡は紛れもなく、若い頃インドで相愛の仲だったホードン大尉のものだったからだ。船の沈没で死んだと伝えられていたが、つい最近まで生きていた! 夫人はひそかに男が暮らしていた街をたずね、男のただ一人の仲よしだったという清公を探し出して、下宿や墓地の案内を頼む。 清公がもらった駄賃の金貨は周囲の不審をまねき、タルキングホーンの探索の針に触れた。 夫人はしばしばリンカン州の館チェスニーウォルド荘に滞在する。その庭園に隣接して、ジャンディス氏の親友ボイソーン氏の邸宅があった。 心地よい初夏のある週末、ジャンディス氏と共にエスターとエイダはボイソーンに招かれてしばらく滞在することになった。 翌日、三人はチェスニーウォルドの園内にある小さな教会の日曜礼拝に出かけた。 デッドロック男爵夫妻がやって来て主賓の座についたとき、エスターに目を留めた夫人は、思わずはっとなって見つめなおした。エスターもなぜか視線を外すことができなかった。 なぜか理由がわからないまま惹かれあった二人であった。 (以下次号) |
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