鳥瞰図のたのしみ

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  鳥観図の制作

1 透視図法


地形図上の主なポイントの見かけの高さを垂線で表します。
計算方法は三角法(下図参照)です。
垂線の頂点をつないで地形を描写します。
鳥瞰図の描き方について私が参考にしたのは、
西欧における地形模式図の描法を紹介した
田山利三郎の「ブロックダイヤグラムの描き方」
(地人書館「地理学講座 第四回」1931)です。


透視図法と平行投影図法(その中の等角図法)
について、図解による説明があります。


  
  実作例 今村巳之助 「信飛越山勢一望図」(1925)
一点透視図法による鳥観図です。
視点の高さは7000mに設定され、視線中心は槍ヶ岳、東西方向に俯瞰しています。

<作者:今村巳之助 陸地測量部勤務、独特の地形対照による鳥観図を制作されています>
一点透視図法は左右端にひずみが生じる欠点があります。
この問題について、森三蔵氏(森図房代表)が、
パノラマ図を実際の視認と一致させる方法
(平面スクリーンでなく円筒状のスクリーンに投影する)
を提唱されています。
「パノラマ図法の提唱」
 -透視図法への疑問と新しい鳥観図

  (「地域」第9号(1981年・冬季号)別刷)

右図は、視野を狭く取った平面を円周に沿って並べ、
各平面の投影図(一点透視図)をつなぐものです。

下図はその実施例「瀬戸内おかやま鳥観図」(白地図)です。
経緯線が湾曲しながら消失点に収斂しています

2 平行投影法

田山利三郎氏による、平行投影法(そのなかの等角図法)による鳥瞰図制作の手順です。
正方形の枡目に分けた等高線を下辺が120°の菱形の枡目に転写します。

視点はなく、視線の俯角が規定されます。これにより上下方向の圧縮率も決まります。
機械や建築物を描く際には考慮する必要がない要素です。
等角図法では、俯角は約35°、上下の圧縮率が約0.57になります。



上図は付記事項に示されているように、俯角を45°に設定した鳥観図です。俯角により縦方向と横方向の縮尺の比率(1/√2=0.707)が決まります。
 今村巳之助「南朝鮮鳥観図」
 (「日本地理大系 朝鮮編」(1930年)の付図)

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